高血圧と頭痛、この2つには関係があります。よく診察時に血圧が上がっているから頭痛がするのではないかと聞かれることがありますが、多くの場合は
頭痛が起こるとその痛みに対する2次的なストレス反応で血圧が上がります。先に頭痛が起こり血圧が後から上がるパターンが殆どです。
正常脳にはある一定の範囲では血圧が変動しても脳血流を一定に保つような調節機能が備わっており、一時的に血圧が上がっても頭痛を起こすことは稀です。
しかし過度の血圧上昇状態(180/110mmHg以上)が長期間にわたるとこの脳血流調節機能が壊れてしまい、脳がうっ血状態になりこの病態を高血圧性脳症
といいます。高血圧性脳症状態では激しい頭痛や嘔吐が起こり、全身けいれんや意識障害を伴う場合もあり可及的早期にかつ慎重に血圧を下げる緊急処置が
必要です。
数年前に激しい頭痛を主訴に来院された方で、診察室で血圧を測定すると220/150mmHgと異常高値であり、頭部MRI検査を行うと脳内出血と脳浮腫が
確認されました。降圧薬を服用して安静にしていただき徐々に血圧が下がり頭痛も軽減しました。半年後には血圧が140/80mmHgに安定した状態となり、
再びMRI検査を行ったところ脳内出血は縮小し、脳溝(脳のしわ)が明瞭に見えるようになり脳浮腫も軽減しておりました。
通常血圧が高くても殆どは無症状であるため放置されてしまうことが多いですが、脳卒中を含めた全身血管疾患の発症防止のために家庭内で血圧を測定する
習慣を作りながら自分が高血圧予備軍でないか知り食事を含めた生活習慣を見直しましょう。時々健診を受けてかかりつけ医に降圧薬を服用する必要がある
か否かも相談してみましょう。
たぐち脳神経外科クリニック