コラム

小児の頭痛について

最近、子供さんの頭痛に関する相談を受ける機会が増えました。子供に頭痛があるからすぐ脳の異常を疑って脳神経外科を受診する方は少ないと思いますが、

頻回に起こって朝起きれず登校できなかったり、登校しても保健室で休む時間が増えたりすると何か脳に異常があるのではないかと心配になるのも当然です。

まずは小児科や内科を受診して風邪などのウイルス感染症を否定したのちに頭蓋内精査をしてみようという流れが一般的であると思います。

小児頭痛のほとんどは緊急処置を必要としない頭痛(一次性頭痛)であり、代表として片頭痛と緊張型頭痛があります。本邦での有病率は

片頭痛が3.5%(612歳)5.0%(1315歳)緊張型頭痛が3.5%(612歳)、5.0%(1315歳)と報告されています。小児片頭痛の特徴は

大人の場合と違い両側に起こることが多く、非拍動性で痛みの持続時間が短いことがあります。緊張型頭痛(肩こり頭痛)は以前は仕事で疲れた

大人の頭痛といった印象を持っていましたが、現代はスマホ時代で長時間の前屈み姿勢をとったりディスプレイを眺める時間が増えたことなどが

誘因で、最近は子供にも首コリ、目の疲れが多く頭痛が増えているように感じております。また起床後に頭痛が起こって登校ができない場合には

起立性調節障害(自律神経障害)が隠れていたり、就寝中にいびきがひどい場合などは頭痛の背景に睡眠障害があるようにも感じます。

 

一次性頭痛が殆どではありますが、風邪などのウイルス性疾患が長引いて副鼻腔炎や髄膜炎を併発したり、頻回に頭部打撲することで習慣性頭痛を

きたしたり、稀ながら頭蓋内病変(腫瘍や脳血管病変)が隠れていることもあります。頻回に頭痛が起こる時は一度頭部MRI検査を受けてみることを

勧めます。20年ほど前に起床時にいつも頭痛を訴えて嘔吐するようになった女児を診察し、検査して脳腫瘍が判明し(下図↓)緊急処置(手術)を

受けていただき元気に社会復帰した症例を経験しました。頭痛診療の現場では常に何か隠れているかもと疑って“たかが頭痛、されど頭痛”の考えで

対応しております。

 

たぐち脳神経外科クリニック

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