認知症
物忘れと認知症について
物忘れは加齢による記憶力の低下が原因で、必ずしも病気ではありません。
物を置き忘れたり、人の名前が思い出せないといったことは、加齢によるものです。
一方、認知症は脳の機能が持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を指します。
これは病気の症状であり、単なる加齢とは異なります。
認知症の中心的な症状は記憶の低下で、体験そのものを忘れることが特徴です。
さらに、物事を順序立てて計画的に実行する能力の低下、時間や場所の見当識の障害、言葉の障害、行動の不具合なども見られます。
認知症のサイン
- もの忘れがひどい
- 場所や時間がわからなくなる
- 人柄が変わる
- 判断力や理解力が低下する
- 何事にも意欲がない
- 幻覚を見る
- 不安感が強い
認知症の種類
アルツハイマー型認知症
アミロイドやタウという異常なタンパク質が脳に蓄積することで発生します。
年月をかけて神経細胞が減少し、脳が萎縮していきます。
このタイプの認知症では、もの忘れが徐々に進行し、日付や曜日が分からなくなることがあります。
日常の動作も徐々にうまくできなくなり、症状が進行していきます。
レビー小体型認知症
脳にレビー小体というものが広範囲に現れ、神経細胞が減少することで発症します。
実際には存在しないものが見える幻覚(幻視)が現れたり、動作が鈍くなり転びやすくなるパーキンソニズムが見られます。
日によって調子の良し悪しが大きく変わるのも特徴です。
血管性認知症
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳卒中が原因で発生します。
脳卒中後に麻痺や言語障害が残ることが多く、脳卒中を繰り返すと症状が悪化しますが、再発予防によって進行を抑えることができます。
慢性硬膜下血腫
頭を打った後などに頭蓋骨と脳の間に血の塊ができ、脳が圧迫される病気です。
頭を打ってから数週間~数ヶ月程度経って症状が現れることが多いです。
頭痛や手足のしびれ、麻痺などが主な症状ですが、もの忘れなど認知症のような症状も見られます。
慢性硬膜下血腫の診断には、頭部CT検査やMRI検査が用いられます。手術で治癒が可能な「治る認知症」です。
正常圧水頭症
脳脊髄液の吸収が加齢とともに悪くなり、脳が圧迫されることで発症します。
認知障害、歩行障害、尿失禁が主な症状です。
歩行は小股歩きとなり、爪先を外側に向けた開脚歩行が特徴です。
手術治療によって改善が期待できる「治る認知症」です。
初期には歩行障害が多く見られるため、早期診断と治療が重要です。
認知症は薬によって進行を遅らせることはできても、根本的に治癒させることは難しいのが現状です。
そのため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
認知症の前段階や初期段階で適切に治療を行うことで、症状の進行を遅らせたり正常化する可能性があります。